精神保健福祉士国家試験情報第20回 精神保健福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

今回の試験結果の概要は次のようになります。

受験者 6,779人
合格者 4,399人
合格率 62.9%
合格基準点 93点(163点満点中)
共通科目免除の場合 42点(80点満点中)
不適切問題 なし

受験者数は180人ほど、合格者数は50人弱減少しましたが、合格率は若干上昇し62.9%となりました。合格基準点については前回(第19回)よりも2点上がり、93点となりました。その一方で、共通科目免除の方は前回よりも2点下がり、42点となりました。専門科目については昨年より難化した一方で、共通科目はやや易化したということを裏付けるものといえますが、ここ最近の合格基準点の推移を見ましても、確実に理解すべきことを中心に出題する、といった方針が踏襲される試験結果となりました。  問題の出題内容は、精神保健福祉士として身につけておくべき事項が大半を占めていました。難易度の高い科目であったり、問題の一部に難問・奇問が見られましたが、ここ数年の合格基準点を考えましても、重要事項をしっかりと理解し、合格基準点を超えるだけの得点を積み重ねられたかが試された、ともいえます。  確かに過去に出題されたものがそっくりそのまま出題されることはありません。しかしながら、精神保健福祉士になるために身につけるべき事柄というものは大きく変わりません。また、これらの内容というものは、毎年繰り返し出題されています。このことからも、国家試験に合格するためには過去問学習が欠かせません。出題内容や難易度に多少の変動はありますが、今回の結果をみても、国家試験に合格するための学習法は不変、といえるものでした。

正解と赤マル福祉自動採点で見解が異なったものについて

【共通科目】
83問すべて試験センター公表の正解と一致していました。

【専門科目】
・問題31
この問題では、面接技法の用語についての理解が問われました。解答速報では選択肢5を正しいものとしていましたが、FさんとスクールソーシャルワーカーのGさんのやり取りから「言い換え」と「感情の反映」のどちらがより適切であるかを判断することが求められました。事例文を読み、出題者の意図を正しく汲み取れたかが試されましたが、判断の難しい問題でした。

・問題39
この問題では、就労移行支援事業所が行う職業リハビリテーションについて出題されました。解答速報では選択肢2を正しいものとしていましたが、職場体験や仕事内容等の整理、ハローワークで求職登録を支援すること、いずれも必要なことといえます。おそらく何らかの出題意図があるのだと思われますが、この選択肢文だけではどちらがより適切であるかを判断するのは難しい問題でした。

・問題53
支援計画案についての事例問題でした。解答速報では選択肢5を正しいものとしていましたが、事例文中にクライエントであるJさんの意向についての記載がなく、「職務内容を単純なデータ入力とする」ことと「精神障害者保健福祉手帳の取得を勧めること」のどちらがより適切であるか判断の難しい問題でした。感じ方は人それぞれであり、出題者の意図を正しく汲み取れたかが求められました。

・問題54
解答速報では選択肢34を正しいものとしていました。事例文中に、Gさんが勤務するU社では、障害者法定雇用率の引上げに対応するための取り組みを行っているといった記載に惑わされたことに加え、選択肢1で記載された雇用率が「法定雇用率」ではなく「会社独自の雇用率」となっており、判断を難しくした方が多かったものと思われます。これも、事例文を元に正しい選択肢を選べたかが試される問題でした。

結果講評

【共通科目】

共通科目の問題数は全83問で、科目別の問題数も例年通りであった。また、「2つ」選ぶ問題は2問(問題18、問題77)出題され、昨年より更に1問減少した。今までで一番少ない出題数であり、見落とさないよう注意が必要であった。なお、単文事例については全部で11問出題され、昨年より2問増加した。
問題内容については、昨年に引き続き、見慣れない語句や内容からの出題が少ない傾向であった。その一方、難易度の高い新傾向の問題が出題されるのも例年通りであった。これらの問題で多くの人が苦しめられると思うが、正答率が低いものが多く、合否を分ける問題であるとは考えにくい。これらの問題に振り回されることなく、確実に正解すべき頻出問題で取りこぼさないようにすることが、合格するためには必要不可欠である。
共通科目全体を概観すると、比較的よく出る語句や内容であっても、今までとは異なった視点からの出題がみられた。これらの問題に適応できたかが試されるものといえる傾向であり、難易度については例年並み~やや難化したものと思われる。

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【専門科目】

精神保健福祉士 専門科目の問題数は全80問、科目別の問題数、3問1セットの事例問題数も例年通りでした。また、「2つ」選ぶ問題は13問(昨年、一昨年は9問)と増加しました。正しいものを2つ選ばないと得点できませんので、これらの問題で差がつきやすいものと思われます。
出題内容につきましては、精神保健福祉士として確実に身につけておくべき事項が網羅されており、本質的な部分では大きな変化はないといえるものでした。その一方、踏み込んだ内容であったり、今までに見たことのないような目新しい問題も出題されています。このような難易度の高い問題が出題されるのも例年通りといえます。全体的には、援助技術や関連する制度、知識などをきちんと理解できているかを問うものが多くを占めました。詳細につきましては科目別分析をご覧ください。
精神保健福祉士としての資質を身につけられたか否かを問うという点では、過去問学習の重要性に変わりはないといえるものでした。専門科目全体を通しての難易度につきましては、例年とは違った切り口からの出題であったり、見慣れない語句が増えたことを踏まえますと、昨年よりやや難化したものと思われます。

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