精神保健福祉士国家試験情報第18回 精神保健福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

今回の試験結果の概要は次のようになります。

受験者 7,173人
合格者 4,417人
合格率 61.6%
合格基準点 86点(163点満点中)
共通科目免除の場合 42点(80点満点中)
不適切問題 問題67(共通科目)

受験者数、合格者数、合格率は昨年とほぼ同程度、合格基準点については前回よりも下がるという試験結果でした。しかしながら、新カリキュラムとなった第12回以降でみると、合格基準点は2番目に高い水準でした。これは、前回に引き続き、難問・奇問を減らし、確実に理解すべきことを中心に出題する、といった出題方針が踏襲された試験結果ともいえるものでした。
問題の内容については、精神保健福祉士として身につけておくべき知識などを中心に出題されています。確かに、前回よりも難易度は高くなっていますが、学習すべき内容は大きく変わってはおらず、国家試験の根幹の部分は揺るぐことがない、といえます。
国家試験の合格のためには、過去問学習をしっかりと行い、基本や頻出事項を身につけることが必要不可欠です。確実に正解すべき問題で得点を積み重ねることが重要なことであり、そのような点からも、今回の試験結果について大きな変化はみられなかった、ともいえます。

正解と赤マル福祉自動採点で見解が異なったものについて

【共通科目】
83問すべて試験センター公表の正解と一致していました。

【専門科目】
・問題55
精神保健福祉士の対応についての事例問題でした。解答速報では選択肢1を正しいものとしていました。事例文中の「オンラインゲームに熱中し、ゲームへの課金による多額の請求がきている」といった記述から、早めに手を打った方が良いと思われましたが、選択肢3にあるように、母親に対し、学校での状況を把握する方がより適切というのが出題意図といえます。事例文を読み、出題者の意図を正しく汲み取ることが求められました。

・問題56
関係機関についての事例問題でした。解答速報では選択肢13を正しいものとしていました。正解である選択肢4のひきこもり地域支援センターは、ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口としての機能を有しており、家庭訪問を中心とするアウトリーチ型の支援を行っています。ひきこもり地域支援センターの活用により、今後の適切な支援に結びついたといえますが、事例文中の「日中は関係機関を利用しながら生活をしている」という記述が現時点での生活のみを意味するのか、最初のきっかけも含むのか判断に迷う問題でした。

結果講評

【共通科目】

共通科目の問題数は全83問で、科目別の問題数も例年通りであった。また、「2つ」選ぶ問題が7問(昨年5問、一昨年7問)出題された。共通科目での出題数は少ない傾向にあり、問題36まで「1つ」選ぶ形式の問題が続いているため、見落とさないよう注意が必要であるともいえる。なお、単文事例については全部で9問出題され、昨年より1問減少した。
問題内容については、毎年のことであるが、いわゆる難問・奇問が出題されている。しかしながら、その割合については多いとはいえず、昨年の出題傾向が踏襲された。裏を返せば、過去問学習を行い、テキストや参考書等で理解を深めることが必要不可欠である。合格に向けてしっかりと学習を積み重ねることにより、合格に必要な点数をとることができるといえる問題構成であった。
共通科目全体を概観すると、昨年に引き続き、標準的レベルの問題が多く取り組みやすかったものと思われる。受験される人にとっては難しく感じることが多いと思うが、難易度については昨年とほぼ同程度であったといえよう。

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【専門科目】

今回の試験についても、問題数は全80問、科目別の問題数、3問1セットの事例問題数は例年通りでした。また、「2つ」選ぶ形式の問題が9問(昨年は14問、一昨年は11問)出題されました。2つとも合っていないと得点にならず、差がつきやすい傾向にありますが、この「2つ」選ぶ形式の問題が減少したという点では問題に取り組みやすくなったものと思われます。
出題内容については、精神保健福祉士として理解しなければならない事項が幅広く網羅されていました。その一方で、問題の一部に目新しいものも出題されましたが、例年よりは少なくなった印象を受けます。「過去問と同じ問題は出ない」と思われる方もいらっしゃるとは思いますが、過去問演習を繰り返すことで頻出事項の理解を確実なものにすることができます。問題を概観すると、精神保健福祉士として理解すべき内容が多くを占めており、ここ最近の試験問題と比較して、取り組みやすく感じた方も多かったように思われます。これらの問題で確実に得点を積み重ねるという点で、本質的な部分では大きく変わりはなかった、といえる出題内容でした。

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