精神保健福祉士国家試験情報第27回 精神保健福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

受験者 6,642人
合格者 4,694人
合格率 70.7%
合格基準点 70点(132点満点中)
なお、共通科目免除の場合…
32点(48点満点中)
不適切問題 なし

 受験者数は6,600人ほどであり、前回より340人ほど減少しました。合格者数については4,700人ほどと、前回より220人ほど減少しました。なお、合格率は70.4%と、昨年に引き続き70%を超える水準となりました。
 今回より、新カリキュラムでの国家試験となりましたが、合格基準点は70点。得点率にすると53%となりました。なお、共通科目免除の方につきましては32点、得点率にすると67%となりました。
 精神保健福祉士の専門科目の出題内容を見てみますと、事例問題が全体の4分の1、それ以外の問題も実践に即した出題もかなり見られましたが、正解しやすい問題が大半でした。新カリキュラムとなっても精神保健福祉士としておさえておくべき内容はほとんど変わらず、過去問学習を通し、重要事項を学んでいくことが合格する上で必要不可欠、といえる試験結果となりました。

(正解と赤マル福祉自動採点で見解が異なったものについて)

【共通科目】
・問題69
 ドルゴフらによって提示された倫理原則についての出題でした。
 選択肢1では、「誰に対しても同じように対応しなければならない」と記述があり、選択肢2がより適切と判断しましたが、試験センターの発表では、選択肢1が正解となりました。倫理原則について正しく理解できているかが問われる出題内容でした。

・問題72
 事例文を元に、実践モデルやアプローチとして適切なものを選ぶ出題でした。
 数週間後に自宅退院を控えており、解答速報では課題中心アプローチが最も適切と判断し、選択肢5としていましたが、正解である選択肢4の生活モデルについて、より深い理解が求められました。

【専門科目】
・問題25
 事例文をもとに、電話相談においてB精神保健福祉士が優先的に評価すべきこととして適切なものを選ぶものでした。
 解答速報では、相談者であるAさんに重きを置き、選択肢4を最も適切としましたが、試験センターの発表では、選択肢1の(Aさんの)息子の精神的健康が優先的に評価すべきこと、としています。事例文の情報をもとに選ぶことが求められましたが、判断に迷う問題であったものと思われます。
共通科目の2問と合わせ、正解の選択肢を選ぶことができなかったことにつきまして、お詫び申し上げます。

結果講評

【共通科目】

1.出題形式

 新カリキュラムとなって初めての国家試験となりましたが、共通科目の問題数は全84問でした。科目別では、「社会福祉の原理と政策」「社会保障」「地域福祉と包括的支援体制」「ソーシャルワークの理論と方法」の4科目が9問ずつ、それ以外の8科目が6問ずつ出題されました。
 「2つ」選ぶ問題は15問、事例問題は26問出題されました。科目編成が変わったため、今までと単純比較することはできませんが、いずれも増加しました。特に事例問題の増加により、問題文の分量も増加し、文章を読むのにより時間を要すため、手早く解答していくことも求められました。

2.出題内容

 共通科目全体を通してみると、ここ近年と異なり、見慣れない語句や内容からの出題が増加した印象を受けます。多くの方が最初の科目「医学概論」から解答し始めると思いますが、今までとは毛並みの異なった出題が続き、「心理学と心理的支援」では事例問題が出てきて戸惑ったりと、多くの科目で新傾向の出題がみられ、「刑事司法と福祉」など専門科目から移行した科目についてもその傾向が続きました。手ごわい問題も多かったと思いますが、そのような問題であっても選択肢文を一つずつ読み、一つでも多くの選択肢を減らせたかで、点数に差がつくものと思われます。
 その一方で、例年繰り返し出題されるような内容からの出題も見られました。難易度の高い問題であるかどうかを見極めるとともに、これらの問題で確実に正解していく力も求められました。

3.全体概況

 共通科目全体を概観すると、過去に出題実績のない内容であったり、今までとは異なった角度からの出題が例年よりも多く、点数が取りにくいように思います。受験された方は特にそのように感じたのではないのでしょうか。
 その一方で、確実に正解してほしい問題もちりばめられており、ここで点数を取りこぼさないためにも、過去問学習を通し、出題された内容と合わせて関連する事項についての理解が必要、といえる出題内容でした。
 今回の国家試験を受けた方の動向が気になる方も多いと思います。赤マル福祉のWeb自動採点では、ご自身の点数だけでなく、Web自動採点をご利用いただいた方の平均点や問題ごとの正答率など、精緻な集計結果を表示しますので、ぜひこちらをご活用ください。
(2025/02/02 18:00公開)

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【専門科目】

1.出題形式

 専門科目の問題数は全48問、科目別では、「精神医学と精神医療」「現代の精神保健の課題と支援」「精神保健福祉の原理」「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」の4科目が9問ずつ、「精神障害リハビリテーション論」「精神保健福祉制度論」の2科目が6問ずつ出題されました。
 3問1セットの事例問題は、「現代の精神保健の課題と支援」「精神保健福祉の原理」「ソーシャルワークの理論と方法(専門)」「精神障害リハビリテーション論」「精神保健福祉制度論」から1セットずつ、全部で4セット(全12問)が出題されました。
 また、「2つ」選ぶ問題は6問出題されました。問題数そのものは決して多くはないとはいえ、例年同様、見落として失点しないよう注意が必要でした。

2.出題内容

 新カリキュラム初の国家試験となりました。出題傾向が大きく変わってしまうのではないか?と不安を感じた方も多かったのではないのでしょうか。
 専門科目全体を概観しますと、精神保健福祉士を目指す上でおさえておくべき援助技術、法制度、専門用語等の理解が必要不可欠で、本質的な部分では大きな変化はなかったものといえます。
 今回の試験の特徴として、実際の相談援助活動の場面を想定した出題も多く、身につけた知識をどのように活用するかを問うものが多くなった印象を受けます。また、3問1セットの事例文に限らず、設問文が長いものも見られ、問題文を理解した上で回答する力も求められ、今後も同様の出題傾向となることが予想されます。
 科目別の出題内容等の詳細につきましては科目別分析をご覧ください。

3.全体概況

 今回の国家試験から、専門科目の問題数が80→48問と大幅に減りましたが、奇をてらうような問題は少なく、精神保健福祉士としての資質を問う出題が48問の中に凝縮されており、良問であったように思います。
 過去問学習を通し地道に試験勉強を積み重ねていくことの重要性が変わることはない、といえる出題内容でした。
(2025/02/02 18:00公開)

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