精神保健福祉士国家試験情報第26回 精神保健福祉士国家試験 結果速報・分析

正答と合格基準について

今回の試験結果の概要は次のようになります。

受験者 6,978人
合格者 4,911人
合格率 70.4%
合格基準点 95点(163点満点中)
なお、共通科目免除の場合…
44点(80点満点中)
不適切問題 なし

 受験者数は7,000人ほどであり、前回より50人ほど減少しました。合格者数については4,900人ほどと、前回より80人ほど減少しました。なお、合格率は70.4%と、昨年に引き続き70%を超える水準となりました。
 合格基準点については前回と同様、95点となりました。なお、共通科目免除の方につきましては、前回よりも5点下がり、44点となりました。
 精神保健福祉士の専門科目の出題内容を見てみますと、例年と大きく変わっておらず、最後まであきらめることなく試験に取り組み、学習を積み重ねられたかが問われました。
 次年度以降の新カリキュラムの内容について不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、新たに学ぶ必要がある項目というものは少なく、精神保健福祉士としておさえておくべき内容はほとんど変わりません。共通科目につきましては、科目編成に変動がみられるものがいくつかありますが、過去の試験問題から重要事項を学んでいくことで、合格基準点は十分に超えることが可能です。
 精神保健福祉士の国家試験については、今回までの試験に限らず、これからの国家試験でも過去問学習が重要である、といえる試験結果となりました。

(正解と赤マル福祉自動採点で見解が異なったものについて)
【共通科目】
 すべて試験センター公表の正解と一致していました。

【専門科目】
 問題55
この問題では、精神保健福祉士の対応について、正しい用語を選ぶ出題でした。
試験センターが発表した正解は選択肢5であり、事例文中の記述から、適切な他の機関を紹介するといった意味合いであることを読み取り、リファーラルが最も適切であると判断できたかが問われました。解答速報では選択肢1としていましたが、正解の選択肢を選ぶことができなかったことにつきまして、お詫び申し上げます。

 問題56
この問題では、G精神保健福祉士がW社に対して行うこととして、最も適切なものを選ぶ出題でした。
国家試験終了後の各社の解答例をみますとすべて選択肢5となっていましたが、試験センターの発表では選択肢1が正解となりました。
これら2つの選択肢ですが、明らかに不適切といえる記述は見られずどちらも適切と考えられますが、作問者の出題意図を的確に汲み取り、最も適切な選択肢を選ぶことが求められ、判断の難しい出題内容といえるものでした。

結果講評

【共通科目】

1.出題形式

 共通科目の問題数は全83問で、科目別の問題数も例年通りでした。また、「2つ」選ぶ問題は8問と、昨年と同様の出題数でした。なお、単文事例については全部で16問と、昨年より5問増加しました。ここ数年、11~12問であることを考えますと、大幅な増加となりました。また、問題39~41で3問連続した、というのは過去に例がなく特筆すべき点となりました。

2.出題内容

共通科目全体を通してみると、昨年同様、見慣れない語句や内容に関する出題は少なかった印象を受けます。主なものとしましては問題27の「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」などがありますが、知らない内容からの出題であっても、選択肢文から○×を判断できるたかが試されました。
 最初の方の科目「人体の構造と機能及び疾病」~「現代社会と福祉」あたりまでは例年とは異なった出題傾向のように感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、「地域福祉の理論と方法」以降は比較的定番の内容からの出題が多かった印象を受けます。
 今回の試験内容の特徴として、問題の中には、やや出題頻度が低いものからの出題も見られました。頻出事項と比較して点数が取りにくく、しっかりと試験対策を行ったか否かで差がつきやすいものと思われます。国家試験を受験された方の実力を適正に評価するという点からも、良問であったといえます。

3.全体概況

例年、共通科目に苦手意識を持つ方も多いと思いますが、来年度からの新カリキュラムでは共通科目・専門科目の枠組みが変わるため、その傾向が変わる可能性もあります。
 共通科目全体を概観すると、手ごわい問題がある一方で、確実に正解してほしい問題も多く見られました。これらの問題でしっかりと点数を取ることが合格する上で必要不可欠であり、例年通り、過去問学習の重要性は揺るがない、といえる出題内容でした。
 難易度が気になる方も多いと思います。また、前回の受験者全体の合格率は例年よりも高い水準となりました。点数が取りやすい=合格しやすい、とはいえず、前回の試験より点数が取りやすい傾向にあったかどうかについては、赤マル福祉のWeb自動採点にて精緻な集計結果を表示しますので、ぜひこちらをご活用ください。
(2023/02/05 16:30公開)

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【専門科目】

1.出題形式

 精神保健福祉士 専門科目の問題数は全80問、科目別の問題数、3問1セットの事例問題数も例年通りでした。
 「2つ」選ぶ問題は16問、昨年より1問減少しました。ここ数年、専門科目全体の2割ほどを占めていますので、引き続き対策が必要といえます。また、今回の試験問題から「2つ」の箇所に下線部が引かれるようになりました。これにより見落としは減るものと予想されますが、「1つ」しか選ばず失点しないよう注意が必要でした。

2.出題内容

 現行カリキュラムでの最後の試験となりましたが、精神保健福祉士を目指す上でおさえておくべき援助技術、法制度、専門用語などについて幅広くされました。専門科目全体としては、出題内容そのものは例年通りといえるものでした。
 例年の傾向ではありますが、問題19の世界精神保健連盟(WFMH)、問題33のバイオサイコソーシャルモデル、問題69のt検定など、過去に出題実績のない語句も見られましたが、例年と比較して少なかった印象です。また、例年とは異なった角度からの出題も見られ、一見、目新しさを感じるかもしれませんが、苦戦が予想される問題は決して多くなく、選択肢文から正解の選択肢を見つけ出すことは十分に可能な問題が多くを占めました。  問題の多くが、過去に出題された語句に関連した内容となっておりました。容易に回答できる問題もある一方で、試験勉強で学んだ知識を活用し、選択肢文をよく読んだ上で正解の選択肢を判断することが求められる問題も含まれており、これらの問題でしっかりと得点できたかが合否を分けるといえそうです。詳細につきましては科目別分析をご覧ください。

3.全体概況

 精神保健福祉士の専門科目で出題される80問につきましては、過去にもカリキュラム変更がありましたが、精神保健福祉士になるにあたり理解しておくべき内容は大きく変わっていません。来年度以降の新カリキュラムでも、その流れが変わることはないものと考えられます。過去問学習が必要不可欠であることは不変、といえる出題内容でした。
(2023/02/04 14:15公開)

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