福祉の仕事人インタビュー
福祉の仕事人インタビュー3
地域包括支援センターについて教えてください
地域包括支援センターは65歳以上の高齢者の方を対象とした総合相談の窓口となっています。社会福祉士と保健師と主任介護支援専門員の三職種がいるんですけど、私は主に総合相談窓口という相談の入り口の部分を担当させていただいています。他にも介護予防に関することも保健師が主に中心となってやっていますし、主任介護支援専門員は地域のケアマネジャーさん達の後方支援をしています。高齢者との関係者としてご家族も支援するし、そこの家庭に関わってるケアマネジャーさんのことも支援するというように対象は幅広く、いわば高齢者の方の何でも相談所なんです。
平野さんのお仕事は社会福祉士の資格が必ず必要ですか?
はい。絶対必要ですね。地域包括支援センターは、三職種を必ず配置しなさいという形で平成18年の4月にできました。社会福祉士は、地域包括ができたことによって、名称独占ではあるんですが、事実上の業務独占っていう形になったんです。
どのようにお仕事をされているのでしょうか?
高齢者の方のご自宅でお話を伺うという形をとっています。地域の民生委員さんなどから「認知症で一人暮らしで心配だ」というような漠然とした話がくるわけなんですよね。じゃあ伺ってみて具体的にどういう所が心配だとか、あとはご本人がどういう所に困ってらっしゃるかだとか、そういうことを一つずつ整理していきながら、必要があれば介護保険などの制度に繋いだり、人に繋いだりというような仕事をしています。
お仕事でつらいことはありませんか?
相談業というのは、「お話を聞いてあげるだけ」では相談じゃないと思うんです。聞いたらちゃんとそれを解決して、次に繋げていかなきゃいけないと思うんです。相談業自体がつらいというよりは、周りとの関係や理解を得られない時や、一人職場みたいな所がつらいのかなというのはありますね。複数配置で社会福祉士がいる職場って、包括に限らずそんなに無いと思うんですよ。結構一人で潰れちゃう人が多いので、潰れないように社会福祉士会という組織で仲間を支援していこうっていう活動があるんです。なので、資格を取るって人には、社会福祉士会に入って一緒に活動しましょうよってお勧めしているんですよね。そうするとネットワークが広がりますよ、自分自身の支えというか宝物になりますよって紹介をさせてもらっているんです。
社会福祉士会の横のつながりを支えにされているのですね?
仕事の後に打ちあわせがあったりと大変ではありますけど、会のメンバーに恵まれてて、色々相談できるので、モチベーションの基というか、会の人達と一緒にお仕事させてもらうと、またがんばろうって気になるんですよね。なので、社会福祉士会のつながりはとっても大切ですね。以前、理事をやっていた時、よく加入するメリットが解らないと言われましたが、実際活動して一緒にやってもらったらメリットがわかりますというような感じです。
社会福祉士の仕事に必要なことはどのようなことだと思いますか?
最初社会福祉士になったとき、制度を知っていることが大事なのかなって思った時期もあったんです。だけど、今思うのは、口に出して困ったって言ってる事と、本当の心の中っていうのは違ったりすることもあるので、そこをちゃんと掘り下げていける力ですとか、社会福祉士としての「見立て」をして、問題を解決をしていく力が社会福祉士の専門性なのかなって思いますね。
これから社会福祉士を目指す人に伝えたいことがあればお願いします。
社会福祉士って資格を取ってからが本当に勝負だと思うんですね。資格を取るっていうことはその仕事をしていくための本当に入口だと思うんですよ。色んな人生があって、その人生に少し関わっていく、ちょっとお手伝いさせてもらう、っていうのが私たちの仕事だと思っているので、それを受け入れられる幅というか、土壌作りをしておいてもらいたいと思うんですよね。遊びも含めて。色んな引き出しを揃えていったらいいと思うんです。
それから、福祉業界をめざす人って「人のためになりたい」と思われる方が多いと思うんですが、意外に相談業の厳しい現実を見せられるかもしれないですね。でも、社会福祉士がいい仕事だなぁと思うのは、感謝されたいからではなくて色々な人とチームで仕事をしていって、それを通じて問題が解決できた時に、なんとも言えない達成感というかそういうものがあるんですよね。それ自身が人生の財産になりますし、とにかく楽しいので、皆さん社会福祉士になりましょう。一緒にお仕事をしましょう。
人と繋がる楽しさ、相談業の難しさややりがいを教えていただきました。また、社会福祉士会のつながりが社会福祉士を支えているのが伝わってきました。これからもがんばってくださいね。
(インタビュアー:ジェイシー教育研究所 木口 智惠)