各科目ワンポイントアドバイス障害者に対する支援と障害者自立支援制度

この科目の試験勉強、難航している方も多いのではないのでしょうか。
障害者・障害児に関連する制度や法令などが出題されますが、その中でも点数を取りやすい内容を取り上げてみます。

今回のテーマは「障害者基本法」です。
障害者基本法の出題頻度は中程度ですが、おさえるべき項目は限られています。
精神保健福祉士の専門科目でも出題されますので、共通科目が免除の方も理解しておきたい内容となっています。

では始めましょう。
障害者基本法第2条第1項では、障害者を身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害(がある者であって、障害及び社会的障壁により(    )に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
と定義していますが、(    )の中には何が入るでしょうか?

それでは確認です。

継続的

「継続的」に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態、であることをおさえておきましょう。
これは、一時的に歩行困難になった者は、障害者基本法における障害者には該当しない、ということを意味します。

続いて、障害者基本法について、実際に出題された試験問題を通して、理解を深めていきます。

社会福祉士 第32回 問題61を解いてみましょう。
精神保健福祉士の方は、第22回 問題61となります。

障害者基本法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  1. 法の目的では、障害者本人の自立への努力について規定されている。
  2. 都道府県は、都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
  3. 国及び地方公共団体は、重度の障害者について、終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
  4. 社会的障壁の定義において、社会における慣行や観念は除外されている。
  5. 障害者政策委員会の委員に任命される者として、障害者が明記されている。

皆さん、正解の選択肢を選べましたでしょうか?
それでは、選択肢ごとのポイントをまとめていきます。

選択肢1:
障害者本人の自立への努力」は、2004(平成16)年の障害者基本法の改正により削除されています。
選択肢2:
障害者基本法第11条第2項より、都道府県に対し、都道府県障害者計画の策定が義務づけられています。努力義務(策定に努めなければならない)ではありません。なお、第11条第3項より、市町村に対しても、市町村障害者計画の策定が義務づけられていることも合わせておさえておきましょう。
選択肢3:
「重度の障害者について、終生にわたり必要な保護等を行う」といった規定は、2004(平成16)年の障害者基本法の改正により削除されています。
選択肢4:
障害者基本法第2条では、社会的障壁を「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう」と定義しています。
選択肢5:
これが正解です。障害者基本法第33条第2項では、障害者政策委員会の委員について、「障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」と規定されており、障害者が明記されています。

選択肢1・2・4の3つは、確実に×と判断できるようにしましょう。
また、この問題で出ていませんが、確実におさえておきたい内容がいくつかありますので、ポイント事項をまとめておきます。

  • 障害者基本法は1993年(平成5)に制定され、初めて精神障害者が障害者であることが明記されました。
  • 障害者基本法第4条では、差別の禁止について
    「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」と規定されています。

2013(平成25)年に「障害者差別解消法(正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」が制定されましたが、差別の禁止に関する規定は「障害者差別解消法」に伴い削除されてはいません

これもねらわれやすい内容の一つですので、おさえておきましょう。

試験範囲はとても広いです。
理解できる内容が増えるということは、わからない箇所が減るということを意味します。
実際の試験問題を何度も解き、理解を確実なものとしていきましょう。